I thinkで間接的な表現にする
英語の表現は直接的で、婉曲表現は少ない、と言われることもありますが、本当はそんなことはありません。
日本語を母国語とする人が英語を喋るときにI thinkを多用しすぎて、自信がなさそうに聞こえる、ということがあると同時に、I thinkを上手に利用すると、間接的な表現ができるのを知っていますか?
I thinkの多用によるミスは、「〇〇だと思います」という日本語をそのままI thinkと口にしてしまい、「あなたの考えではなく、事実を教えてほしい」と誤解されてしまうリスク。
例えば、「アメリカで弊社の製品は人気が高いと思います」という時の「思います」は「想像上の情報」の意味ではありません。「人気が高いです」と言い切ってもよいのですが、柔らかい表現にするために「思います」と口にしてしまっているだけ。
しかしこれを英語に訳して、I think our products are popular in the U.S.と言えば、「データはないの?」「売上成績を見ればわかるんじゃないの?」という疑問につながってしまうでしょう。Our products are popular in the U.S.とだけ言うのが望ましいです。
しかし、このI think をうまく利用すれば、やんわりとした表現にすることができます。
最近非常によく耳にするのは、Zoomなどのヴァーチャル会議において。
だれでも、マイクのミュートボタンを押し忘れて、ミュートのまま喋ってしまったという経験があるのではないでしょうか? せっかく話をしているのに、相手に声が届いていない状況です。例えば皆さんが会議に参加していて、同僚が同じようなミスをしたとき、どう指摘しますか?
You’re on mute.(ミュートになっていますよ)とだけ言っても失礼には当たりません。
しかし、そこであえてI think you’re on mute.ということもできます。ミュートになっているかどうかは、画面を見ればわかります。マイクのアイコンが赤く斜線が入っていれば、ミュートです。しかしそれでもI thinkを使うことで、「音が聞こえてこないけど、もしかしてこちらの問題かも。でもあなたもミュートになっていないか確認してくれる?」というニュアンスにすることができるのです。
同じように、同僚が「〇〇さんが今日までに契約書を送ってくれるといったのに、まだ届かない」と言っていたとします。
皆さんは「〇〇さんは今日じゃなくて、明日までと言っていたんだけどな」と思い返します。Mr. XX said by tomorrow, and not today.とだけ言って指摘することもできますが、ややぶっきらぼう。
どれだけ確信があっても、I think he said he would send you the document by tomorrow and not today.のようにI thinkを付け加えると、「自分が記憶違いをしているかもしれないけど……」のニュアンスとなり、やはり表現が柔らかくなります。
自信の無さと誤解されてしまうI thinkは避けたいですが、思いやりを示すI thinkは上手に使うことができると、コミュニケーションがよりスムーズになるでしょう。
筆者:木内 裕也 PEGL[ぺグル]-実践ビジネス英語講座-講師
ミシガン州立大学アメリカ研究博士号取得。国際会議、企業間交渉、テレビ放送などでの同時通訳ならびに実務翻訳を中心に活動。バラック・オバマ元大統領の自伝、マイ・ドリームの翻訳者。アフリカ系アメリカ人の歴史と文化を学術専門分野としてデトロイトやボストンなどで研究を行う。ミシガン州立大学では、アメリカ研究、大衆文化の授業を担当。上智大学で通訳講座を担当した経歴も持つ。TOEIC、TOEFLで満点、英検1級など主要な英語資格検定で最高峰の記録を持つ。
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