修辞疑問とは?
「修辞疑問」という言葉を知っていますか? 英語ではRhetorical questionと呼ばれます。
Questionですから、疑問文であり、質問をしているのだけれど、決してその答えを求めていない表現です。英語と比較して日本語では頻度が少ないですが、例えば嘘をついた子供に親が注意をするとき、「嘘をついて良いと思っているの?」と聞いたりします。答えは明白であり、「嘘をついてはいけない」ということを強調するための質問。英語ではこのような修辞疑問を使うことがよくあります。
修辞疑問が使われるシチュエーションの1つとして、驚きであったり、あきらめであったり、強い感情のある場面があります。
一生懸命にコンペのプレゼンを準備したけれど選定されず、気を落としているときに実は裏で談合があり、コンペの結果は事前に決まっていた、と知ったときなど、Who knew we had no chance of winning?と言えるでしょう。
「自分たちに勝ち目がないと誰が知っていましたか?」が直訳ですが、これは決して質問ではありません。「誰も知らなかった」ということを強調するための文章になります。
思いがけない出来事があって落ち込んでいる同僚がいたとします。例えば、取れると思っていた契約が取れなかったとか、昇進すると思ったらできなかったとか。
そんな時は、Who would have known?だけでも慰めることができます。相手を思いやるトーンで言えば、「誰も思いもしなかった」の意味で、つまり「普通じゃ考えられない出来事だから、そんなに落ち込まないで」のニュアンスになります。
Who would have thought that a global pandemic will affect everyone’s life for over a year?は直訳すれば「世界的なパンデミックで、1年以上に渡って皆の生活に影響があるとはだれが思ったでしょうか?」ですが、「誰も想像していなかった」というのは明白。それを強調する文章です。
親子喧嘩をして「家を出る!」という小学生に、親がWhere would you go?と聞いたら、それは決して実際の行き先を聞いているわけではありません。
「行くところなんてないでしょ」の意味(これは日本語でも言いそうですね)。こういた修辞疑問を使いこなせるようになることは、英語の1つのスキルでもあります。
ただ、修辞疑問は嫌味に聞こえることもあるので要注意。
答えがわかっていることを聞くのですから、言い方に気を付けないと非常に失礼になります。
実際、修辞疑問で使われる表現で、Is the pope Catholic?のような表現があります。「ローマ教皇ってカトリック教徒?」が直訳。「当たり前でしょ!」の意味で、「そんなことも知らないの?」というニュアンス。
Is rain wet?「雨って濡れてる?」というものもあります。
また、Who cares?(誰がそんなことを気にする?)もよく耳にしますが、投げやりであったり、ちょっとイライラしている様子が見え隠れする表現。
このような感情表現は正しく使うと非常に有効ですが、誤解を招かないように注意することも必要です。
筆者:木内 裕也 PEGL[ぺグル]-実践ビジネス英語講座-講師
ミシガン州立大学アメリカ研究博士号取得。国際会議、企業間交渉、テレビ放送などでの同時通訳ならびに実務翻訳を中心に活動。バラック・オバマ元大統領の自伝、マイ・ドリームの翻訳者。アフリカ系アメリカ人の歴史と文化を学術専門分野としてデトロイトやボストンなどで研究を行う。ミシガン州立大学では、アメリカ研究、大衆文化の授業を担当。上智大学で通訳講座を担当した経歴も持つ。TOEIC、TOEFLで満点、英検1級など主要な英語資格検定で最高峰の記録を持つ。
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