Ownershipのコンセプトで部下に動機づけをする
何かのプロジェクトの話をしていて、Who owns this?という質問を耳にしたことはありますか?
「誰が所有しているのですか?」と言う直訳ですが、「誰が責任者ですか?」という意味になります。
責任者はthe person who is responsible ですが、the ownerと言い換えることもできます。
もっと直接的な言い方をすれば、「このプロジェクトが失敗したときに責任を取らせられるのは誰か?」ということ。
このOwnershipの概念を使って、部下や同僚に動機づけをし、一層のパフォーマンスを求めることがあります。
もちろん、「まだ不安もあるけど、思い切ってあの人に任せてみよう!」とあるプロジェクトの責任者に抜擢することもできるでしょう。
「この仕事を任せてもらえた」とやる気につながることもあるでしょう。しかし、それだけではなく、もっと小さなレベルでのOwnershipを与えることも。
例えば、会議を行う際、積極的に意見を求めることができます。
「何か意見があったら言ってください」とか、「いつでも意見を言ってくださいね」とだけコメントするのと、「〇〇について色々考えてみたんだけど、是非皆さんの意見を聞かせてほしい。」という風に「皆さんの意見が必要だ」というメッセージを伝えます。
そして、その意見を聞くだけではなく、実際の決定にも反映させます。
「強い上司、責任者とは、そんな風に部下の意見を気にしていていてはいけない」という考えもあるでしょうが、部下や同僚の意見をくみ上げ、また将来のために実力のある人材を育てるためにも、このようにOwnershipを共有することが大切です。
このように、Share ownership(責任の共有)をディスカッションを通して行い、いざ決断をして実行をすることになったら、部下や同僚に
I will own this decision.や、I will own the responsibility. と声をかけましょう。つまり「この決定には自分が責任を持つ」ということを明確化する姿勢が望ましいとされます。
こういったOwnershipの概念は、個人主義の異文化ビジネスだからこそ。
日本などトップダウンのビジネススタイルでありながらも合意主義で、責任の所在が不明確と言う文化ではなかなか難しい概念かもしれません。
成功したときも「この人がいたからこそ」という個人への評価が少ないと同時に、失敗しても「この人の責任」というのが不明確で、結局あやふやなまま先に進んでしまうのが伝統的な日本型の意思決定にあるマイナス点とも言われます。
どの意思決定スタイルを使うにしても、このようにディスカッションなどでOwnershipを共有し、最後には上司としてOwnershipの責任を持つスタイルも、グローバルビジネスでは多く見られます。
筆者:木内 裕也 PEGL[ぺグル]-実践ビジネス英語講座-講師
ミシガン州立大学アメリカ研究博士号取得。国際会議、企業間交渉、テレビ放送などでの同時通訳ならびに実務翻訳を中心に活動。バラック・オバマ元大統領の自伝、マイ・ドリームの翻訳者。アフリカ系アメリカ人の歴史と文化を学術専門分野としてデトロイトやボストンなどで研究を行う。ミシガン州立大学では、アメリカ研究、大衆文化の授業を担当。上智大学で通訳講座を担当した経歴も持つ。TOEIC、TOEFLで満点、英検1級など主要な英語資格検定で最高峰の記録を持つ。
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