前置詞を使い分け、効果的な数字表現を
会社のプレゼンテーションなどで、売り上げや業績の変化について話すことがあるでしょう。日本語でも「100に増えた」「100も増えた」といった表現があり、たった1文字の違いでも意味の大きな違いとなることがあります。
英語でもちょっとした単語の違いで表現される意味が変わりますので、誤解を生まないように注意が必要であると同時に、違いを覚えてしまえば一気に表現の幅が広がります。
1つ目はTo。I will go to Japan.「日本に行きます」の様に、進行方向や到着地点を示すのがTo。したがって、「に」と同じです。
Our sales increased to $200,000 last year.であれば、「昨年、売り上げが200,000ドルに伸びました」の意味。一昨年の業績がいくらであったかはわかりませんが、200,000ドルよりは少なかったのは確かですね。
2つ目はAt。I feel at home.「自宅にいる感覚です(=くつろいでいます)」の様に、1つの限定された地点に存在するのがAt。
Atを使うと、Out sales was at $200,000 last year.のような表現が可能です。「昨年の売り上げは200,000ドルでした」の意味。変化を表すことはできませんが、ある時点での数が分かります。
Out sales was $200,000.と同じ意味ですが、Atを使うと「昨年は〇〇」というだけの意味ではなく、「一昨年は」「今年は」という比較の話になるんだろうな、というニュアンスが生まれます。AtはToなど動きがある表現の1つで「静止している」という意味ですから、ただour sales was …というのとは少し違うニュアンスです。例えば、Our sales remains at $200,000.だと、「200,000ドルで推移している」という感じ。
3つ目はBy。I will go home by car.「車で帰宅します」の様に途中の手段を表す表現。
Our sales increased by $200,000.ならば、「売り上げが200,000ドル伸びました」となります。変化の量を表します。200,000ドル伸びた、ということは、一昨年の数が分からなければ昨年の数が最終的にいくつだったのかはわかりませんが、変化の量を示すのには適しています。
これらの前置詞を組み合わせることもできます。Our sales increased by $200,000 to $500,000.であれば、「売り上げは200,000ドル増え、500,000ドルになりました。」ですね。
Increaseだけではなく、Decreaseを使ってOur sales decreased by $200,000 to $500,000.と言えば、「売り上げは200,000ドル減って、500,000ドルになりました。」です。
Our sales increased to $500,000 a few years ago and has been stable at $525,000 for 2 years.ならば、「売り上げは500,000ドルまで数年前に伸びて、ここ2年間は525,000ドルで安定しています。」です。
これらの表現を使うことで、Last year, our sales was $200,000. This year, it is $250,000. Next year, it will be $300,000.といった、文法的には正しいけれどダイナミックさに欠けるプレゼンではなく、Increase byやIncrease toなど動きのある発表ができるようになるでしょう。
筆者:木内 裕也 PEGL[ぺグル]-実践ビジネス英語講座-講師
ミシガン州立大学アメリカ研究博士号取得。国際会議、企業間交渉、テレビ放送などでの同時通訳ならびに実務翻訳を中心に活動。バラック・オバマ元大統領の自伝、マイ・ドリームの翻訳者。アフリカ系アメリカ人の歴史と文化を学術専門分野としてデトロイトやボストンなどで研究を行う。ミシガン州立大学では、アメリカ研究、大衆文化の授業を担当。上智大学で通訳講座を担当した経歴も持つ。TOEIC、TOEFLで満点、英検1級など主要な英語資格検定で最高峰の記録を持つ。
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