Tailboard meetingを知っていますか?
皆さんの会社には、朝礼があるでしょうか? リモートになったり、フレックス出勤があったりすると、部署内の全員が同じタイミングで顔を合わせることは少ないかもしれないですが、始業時間に数分間だけでも毎朝、定例の打ち合わせがある会社は少なくないでしょう。
また、工場や工事現場などではシフトが始まる時にその日の工程を確認したり、安全に関する注意を喚起したりします。同じようなことは学校でも行われていますし(小学校や中学校時代に、朝礼で校長先生の話を聞いた記憶もあるのではないでしょうか?)、病院ではやはりシフトの始まりのタイミングで、患者さんの様子を引き継いだりするためのミーティングが行われます。
このように、その日の作業や業務を確認するために行う会議をTailboard meetingを言います。
Tailgate meetingと呼ぶこともありますが、内容は同じ。元々は、特に安全に気を付けるべき工事現場や工場などで行われていました。話し合いをするだけではなく、出席者の記録もとり、ケガなどがあった場合にはどの病院に行けばよいか、どのような連絡経路を取るべきかなどの確認もシフトごとに行われます。
最近では、オフィスにおいてもTailboard meetingと称した会議を持つ組織も増えています。その中で特に増えているのが、DEI (Diversity, Equity, and Inclusion)に特化したTailboard meetingを行うケース。決して毎日行うわけではないのですが、例えば週に1回、または月に1回のペースでDEIのTailboard meetingを開催。
ある企業では、DEIに関するテーマを月に1つ決めて(例えば3月であれば、Women’s History Monthでしたので、「女性」をテーマにした企業も多かったです)、そのテーマに関しての議論や意見交換をします。誰もが知っているような歴史的な、もしくは目に見える差別などだけではなく、Implicit stereotype(潜在的ステレオタイプ)と呼ばれるような、無意識に持っている固定概念などにも言及します。
扱われるテーマは前述の性別に関するだけではなく、ジェンダーであったり、人種や国籍に関するもの、健康やメンタルヘルスに関するもの、「子育てや介護が大変」「シングルペアレントの苦労がある」などの家庭状況に関するもの、もしくは経済格差に関するものであったりもします。このようなミーティングを就業時間内に行うことで、組織としても「通常の業務と同じ、もしくはそれ以上に大切」という姿勢を示すことができます。
もちろん、話すだけでは不十分で、Tailboard meetingが実際にどんな変化を社会にもたらせるのか、という疑問も残り、批評の対象になったりもします。しかし、第1歩目としては価値のある試みではないでしょうか。
筆者:木内 裕也 PEGL[ぺグル]-実践ビジネス英語講座-講師
ミシガン州立大学アメリカ研究博士号取得。国際会議、企業間交渉、テレビ放送などでの同時通訳ならびに実務翻訳を中心に活動。バラック・オバマ元大統領の自伝、マイ・ドリームの翻訳者。アフリカ系アメリカ人の歴史と文化を学術専門分野としてデトロイトやボストンなどで研究を行う。ミシガン州立大学では、アメリカ研究、大衆文化の授業を担当。上智大学で通訳講座を担当した経歴も持つ。TOEIC、TOEFLで満点、英検1級など主要な英語資格検定で最高峰の記録を持つ。
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