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グローバルビジネスの現場で、正しくニュアンスを伝えるには

グローバルビジネスの現場で、正しくニュアンスを伝えるには

外国語を使う上で難しい要素の1つに、ニュアンスが挙げられます。特にビジネスシーンでは、気づいたら思っていた以上にカジュアルな表現を間違って使ってしまっていたり、逆に思わずフォーマルな表現を使ってしまって、よそよそしい印象を与えてしまったりすることもあります。

 

You knowなどの口語表現を避けるということはなんとなく知っていても、じゃあ他にどんな表現を避けるべきかというと、思いつかないこともあるでしょう。

 

特に文章として残す場合には、余計に気を使うと思います。まず基本的に、省略は避けるべきと言われます。つまり、I am であって、I’mではなく、are notであってaren’tではないということ。もちろん、going toをgonnaとしたり、want to をwannaと書くことは避けなければいけません。

 

一方、メールなどではいきなり本題に入ることは失礼でないだけではなく、望まれるところです。つまり、日本語の手紙ではまずは季節の挨拶から始まる習慣がありますので、どうしてもメールでも長い挨拶を書きがち。その必要は全くありません。Good afternoon, Ms. Jones. I am writing to you about …(ジョーンズ様、こんにちは。〇〇の件でご連絡を差し上げています)という書き出しで問題ありません。

 

避けるべき表現としては、Getなど非常に基礎的な動詞の拡張表現。例えば「了解しました」という意味でI got you.ということがあります。Getは「(あなたの言いたいことを)手にした」という意味で使われるのですが、これはカジュアルな表現。似た表現にI got it.もありますが、これもカジュアル。I understand.であったり、I acknowledge your point.などと表現するのが良いでしょう。

 
また、文章として書くことはないかもしれないですが、文法的に文章として完結していない表現を避けることも必要。例えば上記の「わかりました」の例だと、日常会話ではI understand.というのではなく、ただUnderstood.ということもあります。「了解!」という感じですね。
 

一般的には、丁寧過ぎて失敗する方が、カジュアルすぎて失敗するよりも良いです。どちらが失礼になるかと言えば、カジュアルすぎてしまう方。
 

しかし、丁寧過ぎてしまうことで、相手が残念な気持ちになることもあります。例えばアメリカなど、上下関係をなるべくなくし、上に立つ人がどれだけ部下から親近感を持たれるかが重要視されている文化では、不必要に丁寧な表現を使った場合、上司が「自分はまだまだだな。こんな風に丁寧な表現を使われてしまっている。もっと親近感を持ってもらえるように努力しないと」と自省するでしょう。
 

どうしても単語数や文法の正確性に気を取られがちですが、このようにニュアンスの正確性にも気を付けてみるとよいでしょう。
 


 

筆者:木内 裕也  
PEGL[ぺグル]-実践ビジネス英語講座-講師

ミシガン州立大学アメリカ研究博士号取得。国際会議、企業間交渉、テレビ放送などでの同時通訳ならびに実務翻訳を中心に活動。バラック・オバマ元大統領の自伝、マイ・ドリームの翻訳者。アフリカ系アメリカ人の歴史と文化を学術専門分野としてデトロイトやボストンなどで研究を行う。ミシガン州立大学では、アメリカ研究、大衆文化の授業を担当。上智大学で通訳講座を担当した経歴も持つ。TOEIC、TOEFLで満点、英検1級など主要な英語資格検定で最高峰の記録を持つ。

 

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