説得力UPのための心構え
ディベートであったりもしくはセールスであったり、様々な領域で、会話をする相手をいかに説得するかというテクニックの解説がされています。例えば「この様に議論を組み立てると、相手に説得力のある形で意見を伝えることができる」と解説がされることもあるでしょう。
1つ非常に重要なポイントとしては、中立的な意見の人や、そもそも同感している人を説得することは必ずしも優先順位の一番ではない、ということです。
例えば1億円の投資を持ち掛けるとします。15分のプレゼンで1億円の投資を受けられるかどうかが決まる場合、聞き手の立場や意思決定権に差がない場合、「まあ、投資をしてもいいかな」とか「ちょっと話を聞いてみよう」と思っている人に話しかける必要はそれほどないのです。
1億円の投資の話から離れてみましょう。皆さんが、例えば算数の先生だったとします。「今日は鶴亀算を勉強しましょう」という日に、「すでに塾で鶴亀算を知っている学生」や「先生の話を聞けば理解してくれる学生」に焦点をあてて講義をする必要はないですね。それよりも、「どれだけ説明してもなかなか分かってくれない学生」にどう説明するか、可能であれば授業の1コマの中で、どれだけ理解してもらえるか、が勝負です。参考書を渡せばわかってくれる学生ではなく、どれだけ説明しても理解に苦労する学生にいかに伝えるかが腕の見せ所なのです。
ディスカッションでも同じことが言えます。いかに自分の意見の正当性を主張するかより、どれだけ反対意見の人に訴えかけられるかが必要。反対意見の人を勝ち取ることが大切です。
ビジネスのディスカッションであり、もしくは様々な意見交換の場で、多くの人がいかに自分の意見が正しいかを一生懸命説明しています。それはそれでもちろん大切。しかし同時に、「自分の意見に疑いを持っている人をどう説得することができるだろうか?」ということにも意識を向けるといいでしょう。ここで気を付けるべきは、「相手が突いてくるであろう、自分の意見の弱いと思われる点」に対する防御策を事前に考えておくことです。
つまり、相手の意見の弱さを攻撃することではありません。相手の意見の弱さをいかに攻撃しても、自分の意見が正しいことの証明にはなりませんね。しかし相手が突いてくる、自分の意見の弱いと思われる点を防御することは、自分の意見をより強いものにします。自分のロジックを固めるだけではなく、疑いの目を持つ人がどう突いてくるかを考えてみると、一層ロジックが強くなるでしょう。
筆者:木内 裕也
PEGL[ぺグル]-実践ビジネス英語講座-講師
ミシガン州立大学アメリカ研究博士号取得。国際会議、企業間交渉、テレビ放送などでの同時通訳ならびに実務翻訳を中心に活動。バラック・オバマ元大統領の自伝、マイ・ドリームの翻訳者。アフリカ系アメリカ人の歴史と文化を学術専門分野としてデトロイトやボストンなどで研究を行う。ミシガン州立大学では、アメリカ研究、大衆文化の授業を担当。上智大学で通訳講座を担当した経歴も持つ。TOEIC、TOEFLで満点、英検1級など主要な英語資格検定で最高峰の記録を持つ。
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