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番外編:この時期になると話題になる「サッカー選手の男女の賃金格差」

番外編:この時期になると話題になる「サッカー選手の男女の賃金格差」

グローバルビジネスの現場で、ちょっとした雑談で相手との距離感が縮まるとうれしいですよね。
今回は、興味がある人もない人もコメントしやすい話題、「サッカー」を取り上げます。

 

サッカー女子ワールドカップが開催されると、アメリカで話題になることの1つに、男女の賃金格差があります。「日本より男女の賃金格差が少ない」と思われているアメリカですが、実際には根強い差別が残っています。非常に頻繁に話題になる内容ですので、どんな議論になっているかを紹介したいと思います。日本においてもスポーツ以外の世界で似たような状況があるのではないでしょうか?

 

サッカー選手の賃金格差を見ていくと、「男子選手が女子選手より高い報酬を得ている」という単純な比較論だけではないのが分かります。まず大きな要素として、アメリカ男子サッカーの代表選手は目立った成績を残していません。昨年のW杯こそベスト16まで残りましたが、前々回のW杯は予選すら突破できませんでした。「W杯で3位になったことがある」ともいわれますが、それは1930年の話です。逆に女子代表はW杯で4回、オリンピックも4回優勝しています。

 

男子チームが強豪チームと親善試合をして勝利した場合、約17000ドルのボーナスが支給されます。引き分けの場合は8000ドル。女子チームが勝利した場合は8500ドルで、引き分けの場合は1800ドル。言い換えれば、女子チームの勝利ボーナスを得るには、男子チームは引き分ければよいということ。ワールドカップ予選であれば、男子チームが勝利すると約18000ドルのボーナスに対し、女子は6分の1で3000ドル。W杯出場を決めると男子が250万ドルのボーナスに対し、女子は75万ドル。男子はW杯の代表チームに選ばれると160万ドルもらえますが、女子は86万ドルです。

 

このような大きな差があるのは問題だ、という話になると、「でもそもそもチームが大会組織から得る収入が違う」と言われます。実際、W杯を組織する団体は男子大会の賞金総額を4億4000万ドルにしたのに対し、女子は3000万ドル。男子と女子の賞金総額の差は、実は広がっています。2019年にアメリカ女子代表が優勝した際、アメリカサッカー連盟から400万ドルの賞金が支払われました。2014年に男子代表がベスト16に入った際の540万ドルより少ない金額です。

 
TV放映を考えると、女子代表のほうが男子代表より視聴者が多いです。しかし男子代表のレプリカユニホームより、女子のレプリカが売れているというデータもあります。チケット収入などは男女の差がほぼないか、女子の方が多い年も少なくありません。
 

これらのデータが良く持ち出されて、様々な議論が交わされてます。状況は少し良くなったとは言え、以前として格差が残っていますので、アメリカではサッカーと同時に賃金格差も話題になっています。
 


 

筆者:木内 裕也  
PEGL[ぺグル]-実践ビジネス英語講座-講師

ミシガン州立大学アメリカ研究博士号取得。国際会議、企業間交渉、テレビ放送などでの同時通訳ならびに実務翻訳を中心に活動。バラック・オバマ元大統領の自伝、マイ・ドリームの翻訳者。アフリカ系アメリカ人の歴史と文化を学術専門分野としてデトロイトやボストンなどで研究を行う。ミシガン州立大学では、アメリカ研究、大衆文化の授業を担当。上智大学で通訳講座を担当した経歴も持つ。TOEIC、TOEFLで満点、英検1級など主要な英語資格検定で最高峰の記録を持つ。

 

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