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AI時代のシン・グローバルリーダー入門-6
生成AI時代のグローバル人材育成「サクセッションプラン」(後編)

AI時代のシン・グローバルリーダー入門-6<br>生成AI時代のグローバル人材育成「サクセッションプラン」(後編)

皆さんこんにちは。グローバル人材育成担当の宇野です。
 
今日は、前回に続き、グローバル経営人材育成において必須のコンセプト、「サクセッションプラン」について、お話をしたいと思います。前編では、おもにサクセッションプランの必要性についてお話しました。
(前編はこちら)
 
後編では、サクセッションプランに欠かせない選抜者の選定や評価について取り上げたいと思います。
 
 

キーポジションへの候補者選抜
 
キーポジションの整理ができたら、次に候補者の選定に入ります。ここで間違った人を選ぶと、その後のプロセスの費用対効果が上がりません。
 
候補者選抜の分析方法
 
キーポジションの候補者選抜には、実績と能力、ポテンシャル、そしてそのポジションへの需給ギャップの分析が必要です。あるポジションに、候補者がたくさんいる場合もあれば、2人しかいない、さらには0人、ということもあります。0人の場合は、外部採用か、育成か、になるでしょう。
 
ちょうど野球のドラフトシーズンで、大谷選手のロサンゼルス・ドジャースの移籍が大きな話題となりました。大谷選手だけでなく、多くの選手が移籍をしていますね。サクセッションの候補者選抜プロセスは、スポーツチームが次のシーズンのために選手を選ぶプロセスに似ているともいえそうです。チームの現状と将来を分析し、どの選手がチームの弱点を補い、将来の成功に貢献できるかを検討します。
 
(ちなみに、ブラッド・ピット主演の映画「マネーボール」を見ていただくと、このサクセッションプランの場面が多く出ており役立ちます! いつか、このブログでも特集したいと思います。)
 
 
候補者選抜プロセスと評価基準
 
候補者選抜プロセスには、詳細な評価基準が必要です。これは、どのようにして各候補者がポジションの要件を満たしているかを判断するためのものです。たとえば、リーダーシップ能力、チームワーク、専門知識、革新性などが評価基準に含まれるかもしれません。
 
このプロセスで、英語力の有無はしばしば話題になります。
 
候補者の英語力(または外国語力)が不足している場合、まず、その能力がポジションにとってどれほど重要かを慎重に検討する必要があります。グローバルな環境では、英語は重要なコミュニケーションツールですが、それが必ずしもすべてのポジションで必須とは限りません。
 
地域市場に特化した役割であれば、英語力よりもその市場の言語や文化への理解がより重要になるかもしれません。ただし、グローバルな視点から重要な役割を担う場合は、英語力の向上を支援するプログラムの導入も考慮に入れるべきです。
 
たとえば、私たちAoba-BBTがグローバル経営人材育成を全面支援している会社の社長は、英語を一切話さず、英語が話せる方を帯同して世界を回っています。しかしこの方も次世代リーダーについてはこのような考えです。
 
「自分は社長だから、英語を話せなくても周りが聞いてくれる。むしろ下手な英語で話す方が伝わらないことが多い。でも、中堅幹部は、自分のような社長という箔があるわけではない以上、海外で仕事を動かすために英語は身につけてほしい」
 
 
次世代リーダー育成プログラムの計画・実施
 
キーポジション特定と候補者選定が済めば、次は育成プログラムの設計です。ここはAoba-BBTの本業でもあるので詳細に説明したくなってしまうところでもありますが、この項ではサクセッションプランの概要をまずつかんでいただく意味で簡単にお話しします。
 
階層別プログラムの検討と設計
 
次世代リーダー育成プログラムは、組織内の様々なレベルで異なるニーズに応じて設計されるべきです。会社によって分け方は異なると思いますが大きく分けるなら、3-4レベルの分け方になるでしょう。
 
1. CxO候補や子会社社長レベル
2. 部長~事業本部長レベル
3. 若手抜擢~課長レベル
 
外資系では、3.の若手抜擢型が増えているように思います。若手、中間管理職、上級管理職それぞれのレベルで異なる育成プログラムを設計することで、組織全体のリーダーシップの質を向上させることができます。
 
育成プログラムの内容は多岐にわたりますが、一言で言うならば、座学ミニマムの「アクションラーニング」と、OJTになるでしょう。つまり、育成プログラムではあるが、実際の仕事になるべく直結した内容や、仕事を通じて育成する、ということが基本形になります。
 
若手向けは、業務スキル、チームワークの重要性から入る、上級管理職向けでは構想力の技術を強化するなど、内容も異なります。
 
 
個別に異なる育成期間と育成計画
 
個々の候補者には、それぞれ異なるスキルセットと経験がありますので、理想的には、育成期間と育成計画は個別にカスタマイズする必要があります。これは、アスリートをトレーニングする際に、それぞれの体力、技能、専門分野に合わせてトレーニングプログラムを調整することに似ています。
 
ただし、上記の若手・部課長レベルではそのようなカスタマイズは、候補者が多すぎる大企業ではできないでしょう。
 
それでも、同じポジションを争うある候補者はリーダーシップスキルを強化する必要があり、別の候補者は業界知識を深める必要があるかもしれません。育成計画は、これらの個別のニーズに合わせて慎重に策定されるべきです。
 
そのような個別化提案ができるか、外部研修会社に相談してもよいでしょう(Aoba-BBTにもお気軽に!)。
 
 
人材評価・開発会議
 
さていよいよ、サクセッションプランの仕上げは、候補人材の育成後の評価です。
 
人材評価の方法とツール
 
人材評価は、サクセッションプランの重要な要素です。これは、従業員のパフォーマンス、潜在能力、リーダーシップ資質などを評価するプロセスです。評価ツールには、業務実績のほか、360度フィードバック、パフォーマンスレビュー、能力評価テストなどがあります。
 
これらのツールを使って、従業員の強みと改善点を特定し、個々のキャリアパスと発展のためのサポートを提供します。
 
たとえば、ある従業員がリーダーシップの潜在能力を示している場合、それを発展させるための追加トレーニングやメンタリングを提供するなどです。
 
 
評価会議の進め方と成果のフィードバック
 
評価会議では、経営陣や人事部門が集まり、候補者の評価結果をレビューし、決定します。会議での議論に基づき、それを従業員にフィードバックします。これにより、従業員は自分が企業内でどのように位置付けられているか、今後どのような方向で成長すべきかを理解することができます。また、フィードバックは従業員のモチベーションを高め、自己改善に向けた努力を促します。
 
なお、そもそも次世代経営人材育成のサクセッションプランにおける「候補人材」であるかどうかの告知をあらかじめするか否かは、議論の余地があります。告知がある方が、本人のモチベーションにもつながります。また、選定プロセスも含め組織全体でオープンにした方が、フェアであるとも言えます。一方で日本企業の場合は、オープンにすればするほど、選ばれなかった人のモチベーション低下も心配するでしょう。
 
 
以上、サクセッションプランについて、そもそも論から全体を概観しました。サクセッションプランは、あらゆる組織において、リーダーを計画的に育成し組織全体の持続的な成長を促進するための、重要なツールです。組織の大小に関わらず、常に考えるものです。皆さんの組織のサクセッションプランについて、ぜひ検討してみてください。
 
 
2023年も残りわずかですが、皆様の1年はいかがでしたでしょうか。
本年もAoba-BBTを御贔屓いただき、誠にありがとうございました。
来年も何卒よろしくお願い申し上げます。
みなさま、良いお年をお迎えください。
 
 


 
筆者:宇野令一郎
BBT グローバル人材育成事業本部長
 


 
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