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人材を伸ばすには「否定形」に気を付ける

人材を伸ばすには「否定形」に気を付ける

日本でも、コーチングやメンタリングという言葉を耳にするようになりました。
両者には様々な違いがありますが、共通している事項の1つとして言葉遣いに気を付ける、という点があります。
特に、否定形をどう使うか、ということに気を払うことが求められます。

 

例えば「弱点」とするか「向上点」とするか。
前者は明らかにマイナスの響きを持ちますが、後者は「今後に向けて」というニュアンスを持ちます。
とても細かい点ですが、このような言葉や単語の選び方が大切とされています。

 

そのため、振り返りセッションなどでも、What went well? What did not go well?(何がうまくいきましたか? 何がうまくいかなかったですか?)と質問するのではなく、後者はWhat could have been better?とかWhat do you wish you had done differently?などと聞きます。
前者は「何がもっとうまくいったらよかったと思いますか?」の意味。
後者は「何を違った方法で行えば良かったと思いますか?」の意味です。

 

同様に、Optionという言葉もよくつかわれます。
「選択肢」を意味する単語。
例えばプレゼンに失敗してしまった(向上点が多かった)部下と反省会をする場合、You did not present well.(プレゼンに失敗した)とかYour third slide was not effective.(3枚目のスライドは効果的ではなかった)と伝えるのではなく、What other options did you have for your third slide?と聞きます。
つまり「3枚目のスライドは、他にどのような作り方ができましたか?」と聞くのです。

 

Optionを尋ねることは、マイナスに焦点を当てるのではなく、この先どうするかに焦点を当てることにつながります。
そして、過去を見つめた姿勢で反省会をするのではなく、将来に目先を向けることにもつながります。

 

こういったコーチングやメンタリングに慣れていない場合「そんなオブラートに包んだ表現をしていたら、人材は伸びない」と思われることが多いです。
「直接言わないとあいつはわからない」と思われることも。
しかし、頭ごなしに伝えるのではなく、Optionなどを質問しながら本人に答えを導き出させるのが上司の腕の見せ所です。
反省会の様子を目にすると、9割以上の時間を上司が話していて部下はそれを聞いているだけ、ということが少なくありませんので、まずは半分半分を目指してみるのもよいでしょう。
最終的には、上司が1割、2割喋り、部下にもっと話をさせますが、有効な質問をすることでそれが可能になるのです。

 


 

筆者:木内 裕也 PEGL[ぺグル]-実践ビジネス英語講座-講師
ミシガン州立大学アメリカ研究博士号取得。国際会議、企業間交渉、テレビ放送などでの同時通訳ならびに実務翻訳を中心に活動。バラック・オバマ元大統領の自伝、マイ・ドリームの翻訳者。アフリカ系アメリカ人の歴史と文化を学術専門分野としてデトロイトやボストンなどで研究を行う。ミシガン州立大学では、アメリカ研究、大衆文化の授業を担当。上智大学で通訳講座を担当した経歴も持つ。TOEIC、TOEFLで満点、英検1級など主要な英語資格検定で最高峰の記録を持つ。

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