どの程度の丁寧語が適切か
「英語には丁寧語が無い」と言われることもありますが、そんなことはありません。単語レベルであったり、構文レベルであったり、様々な形で丁寧な表現がなされています。
同時に、国によって丁寧表現に対する考え方に違いもあります。非常に丁寧な表現を用いることの多い文化から、逆にそれほどでもない場合も。丁寧な表現を好む文化で、それほど丁寧ではない表現を使えば失礼になります。それほど丁寧な表現を使わない文化で丁寧な表現を使った場合、失礼にはなりませんが、「何か嫌味な人」と思われてしまうことも。
周囲の人がどれくらいの丁寧表現を使っているのかに気を配ってみることも大切ですし、同時に使う丁寧表現のレベルに少しくらいの差があっても、「失礼な人だ」とか「嫌味な人だ」と決めつけないことも大切です。
例えばアメリカは個人差もありますが、一般的には英語圏のヨーロッパ諸国と比較して丁寧表現の度合いが低いと言えます。例えばI am sorry.やI am very sorry.は耳にしても、I am terribly sorry.はあまり耳にしません。
また、何かをお願いするときに、Could you pleaseなどは聞きますが、Do you mindやWould you mindは、例えばイギリスで耳にする程度と比較すると、それほど聞きません。
学校の英語の授業ではMindを使ってお願いする表現を学びますが、文化差があります。逆に、駅前のタクシー乗り場やバス乗り場に自家用の乗用車を停車させて友達を迎えているような人に、タクシーやバスの運転手が窓から顔を出して、Do you mind???とだけ大声で言うこともあります。
他にも例えば病院の救命棟入り口の前でドアをふさぐ形で立ち話をしているとか、細い道で立ち話をして歩行者に迷惑をかけているような場合など、明らかに一方に非があって、しかもそれにイライラしているのをあからさまに相手に伝えたいときに使われます。ある意味、わざと丁寧な表現をすることで、前述のとおり皮肉的に相手を非難しています。
丁寧表現としては、kindも使われますね。会議中に資料を配布するとき、自分はプレゼンをしているので、同僚に「これを配ってくれますか?」とお願いするとき、Would you please hand this out?と言ってもいいですが、Would you be kind enough to hand this out?とも。
もしくは、If you would, could you please hand this out?でもいいですね。KindもIf you wouldも、その存在に関わらず、伝えたい内容は相手に伝わります。伝わるけれどもあえて単語数を増やすということで丁寧さを伝えています。
とはいえ、最初に書いた通り、国や文化によって望ましい丁寧さの程度がありますので、周りのネイティブスピーカーはどんな表現を使っているのだろう、と観察してみるとよいでしょう。
筆者:木内 裕也 PEGL[ぺグル]-実践ビジネス英語講座-講師
ミシガン州立大学アメリカ研究博士号取得。国際会議、企業間交渉、テレビ放送などでの同時通訳ならびに実務翻訳を中心に活動。バラック・オバマ元大統領の自伝、マイ・ドリームの翻訳者。アフリカ系アメリカ人の歴史と文化を学術専門分野としてデトロイトやボストンなどで研究を行う。ミシガン州立大学では、アメリカ研究、大衆文化の授業を担当。上智大学で通訳講座を担当した経歴も持つ。TOEIC、TOEFLで満点、英検1級など主要な英語資格検定で最高峰の記録を持つ。
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