こんにちは。Aoba-BBTグローバル人材開発部の宇野です。
本メルマガでは、「AI時代のシン・グローバルリーダー入門」と題し、AIと共存し、ビジネスを加速させるグローバルリーダーになるために役に立つ情報を提供しています。
 
 
生成AI（Generative Artificial Intelligence）は、もはや誰も想像できないスピードで進化し、AIが人を超えるかどうかではなく、いつどのように人を超え、その後何が起きるのかの問いに直面しています。先日のOpenAIのサム・アルトマン氏をめぐる騒動も、生成AIの進化スピードに対する対立でもあったようです。
 
今回、本メルマガでは、生成AIがグローバル経営と人材育成にどのように影響を与えているか、少し探究します。
 
 
AI技術の経営戦略への応用
 
生成AIは、すでに製品開発、マーケティング、顧客サービス、さらには組織の意思決定プロセスに至るまで、ビジネスのあらゆる領域に影響を及ぼしています。
 
たとえば：
●マーケティング：
　・広告キーワード、広告文づくりにAIを活用（例：Google）
　・パンフ・広告などで画像自動生成例（例：DALLE-3による画像生成がChatGPTにも最近完全実装されたのは記憶に新しいところです。）
　・SalesforceにみるようなBtoBマーケティングにおけるAI機能実装
●製品・サービス開発：
　・顧客のニーズを満たす新しい製品やサービスを開発するために、生成AIを活用（例：日清食品は、営業トークから商品パッケージデザインまで、全社で生成AIをフル活用）
などなど。AIは業務コストを下げるだけでなく、売上を上げるツールとして活用している企業も多いようです。
 
さて、人材育成の観点ではどうでしょうか。人材開発におけるAIの活用は、大きく分けて以下の2つの領域に分類されます。
 
 

学習支援
 
海外では、かなり前から学習支援の分野でAI実装が進んでいます。有名な例として、2016年にアメリカ合衆国のジョージア工科大学で開発された、AIティーチングアシスタントチャットボット「ジルワトソン」があります。
 
これは、IBMのWatsonプラットフォームに基づいて開発されました。同大学で、「ジルワトソン」は8名の人間TA（Teaching Assistant）に混ざり、学生にはボットであると知らせずに非同期ディスカッションフォーラムで質疑を中心とするTA業務を行いました。
 
ボットであることがわからないように、意図的に3分後に回答するなどした結果、学生の誰一人としてジルワトソンがチャットボットであると疑うものはいなかった、というものです。
 
その後、米国の高等教育において、履修登録、コース開講管理、宿題の割り振りなどの質問には、AIチャットボットが回答するようになってきています。
 
日本では、近畿大学が、AIを活用したティーチングアシスタントを実施しているようです。
 
 

プログラム開発・運用
 
以下のような点で、生成AI活用への試みが始まっています。
 
●学習履歴の分析：学習者の学習履歴を分析して、学習者の理解度や苦手分野を把握する。
●学習進捗の予測：学習者の学習進捗を予測して、適切な学習計画を提案する。
●AIによる個別指導：AIが学習者の学習状況に合わせて、個別指導を行う。
●教材の自動生成：AIが教材のコンテンツや問題を自動生成する。
●教材のパーソナライズ：AIが学習者のニーズに合わせて、教材をパーソナライズする。
●記述問題のAI添削：AIが記述式回答も含め、評価する。
 
先日筆者が見たソフトは、学習者がアインシュタインやニュートンなど、受講者が好きなキャラクターからサイエンスを教わる、というものでした。そしてその「サイエンス」が国際バカロレアのサイエンス、ケンブリッジ国際のサイエンス、またはある国の指導要領に沿ったサイエンス、いずれにも対応可能というものでした。しかも、対話形式で、あなたにニュートンが教えてくれるのです。
 
さて次回は、上記の企業例と、AI時代を前提としたグローバル経営人材の在り方について、探究したいと思います。
 
 

 
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筆者：宇野令一郎
BBT グローバル人材育成事業本部長